心理

大事なことはプーさんに教わった

本のこと、子どものこと、シンクロニシティ

物語は過去形で語られる①

あけましておめでとうございます
今年度、は令和3年、2021年です
過去、何年後かには2021年がくると頭ではわかっていることでも実際になってみると、
清々しく
新鮮な気持ちになってきますね

それは2021年というストーリーを前に、
白い画用紙を広げられたような気持ちになるからではないでしょうか!

そして、もちろん2021年というストーリーを、
自分にとってまたは社会にとって「幸せに」形作ることができるように
世界中の人が、コロナ渦であったとしても
心では、誰もが祈っていたに違いありません


少し強引ですが、新年と子どもの読書につなげて考えてみます



猪熊葉子著、『児童文学最終講義 幸せのおおづめを求めて』を読むと、
子どもの本の持つ特性「幸せに向かった物語」としての内容が
要所要所に書かれていますので
本全体が、

いわゆる「新年」を考えるきっかけにつながるのですが、

前半の
p14で、スザンヌ・ランガーという哲学者の大著『感情と形式』のなかで、

――このなかでランガーは、私たちが読んだり聞いたりする物語が
過去時制をとるものであると言っていて、私は意表をつかれました。
そうですね、たしかに物語はどこどこになになにをという人が住んでいました。
その人がこれこれこういうことをしましたした、と全部過去時制で語られています。
彼女はその過去時制で語られているということに注目して、
そこから物語の機能を解明しております――

そう、物語は過去形で語られます

――「現在がいまだ無定形で、不馴れなもので、輪郭が定まらないものであるのに対して、
過去はすでに形成され、固定され終わったものとして、すべてのわれわれの願望や努力から
一種独特な仕方で超越している」…………。……「人生はわれわれがそれに形式を与えぬ限り、
首尾一貫したものではない。……通常、『それを言葉にして』自らに語り、
『場面』によってそれを構成し、そうすることによって、われわれは心の中で
その重要な瞬間を再現することができるのだ。

ここで書かれている
「現在がいまだ無定形で不馴れで輪郭が定まらないもの…」
新年を迎えた「無定形」だとすると

物語というものが、いわば、我々にとって、すべて無定形のものに首尾一貫性を与え、
はっきりと物事を理解させてくれるものであるということで、
具体的にさまざまな人間のありようのイメージを与えてくれ、
さまざまな時代のさまざまな場面を切り取って見せてくれるものであることになるものです


(大人でさえうろたえるこの社会情勢の急激な変化
子どもは乗り越えることができるだろうか…)

そう思うのは、本当の意味での
物語体験が満たされていない大人、
もしくは自分のストーリーが、
定規杓子というセロファン紙で包まれた経験と記憶…


そう、子どもは「めでたし、めでたし」で終わる物語をとおして成長すると
「無定形」なものに、具体的にイメージをつくって再現するときに、
「幸せのおおづめ」に向かって、思考が動いていくように思うのです


「自己肯定感を高めよう」というスローガンでは
決して前向きになることはありません
逆に、自分のだめさ加減ばかり責められているような
気持ちになるのではないでしょうか…

長くなりましたが、
新年に向けて、悲観的になるようなニュースばかりになっていますが、
こんなときこそ、子どもの物語の力でエネルギーを感じたいものです

いつだって、「絶望」から光明はあるものです

指輪物語』のフロドとサムは、
絶体絶命から光を信じ
旅をつづけました


子どもには「どうぞよい物語を!」

今年一年間、子どもの本を通じて、
幸せのストーリーを共有出来たらな、と思っています



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